信用リスクを読む(bloomberg)



会社の先輩に借りて読んだ本。
一通り読んだのですが、分からない言葉とか調べ直してましたら、結構時間かかりました。



いくつか項目をあげておきます。


・やっぱり、トヨタの信用力はすごい。


・自社株買いは、企業の資本制作、株主還元という意味ではよいですが、信用リスクの観点からは社債権者の立場を弱くするものに他なりません…。
ちょっと前まで議決権行使をやってたので、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうです。


古河鉱業古河電工富士電機富士通ファナック…。NTT、NTTドコモ…。
成長分野を子会社化すると、子会社が親会社の格付けを上回る例も。
株式の親子上場に似ているかもしれないですね。
一つの成功事例をもつ会社は、今後、衰退していくであろう部分と成長していくであろう部分を分けてやったほうが、いいのかもしれません。


・NTTやJR系は市場重視派とよばれ、社債発行前に綿密な市場調査をし、妥当なスプレッドを提示する。
それに対して、電力会社などはあまり市場を重視しないという傾向があるらしい。
先週発行した電力債で、やや低調に終わったのがあったみたいです…。
ちゃんとニーズ見ないとね。
もともとスプレッドが低いという状況も関係しているかもしれないですが。


・クレジットアナリストは社債の償還能力という信用リスクを見るのであるから、バランスシートというストックの分析が重視されている。


・日本の場合はメインバンクによる経営支援等があり、銀行との関係性にも注目する必要がある。後ろ盾があるかないかは大きな違いである。


消費財と公共財。
消費財のほうが、より格付けの振れが大きくなる。


・日本はBBBやそれ以下の格付けされた企業による社債発行が圧倒的にすくない。


・企業破綻とデフォルトは必ずしも一致しない。
一般事業会社では相関が高いと思われるが、銀行の場合は様子が異なる。
足利銀行が国有化されたときなどは、逆に格上げが行われた。
かなり特例だとは思いますが。


・銀行による融資が企業の格付けとリンクしておらず、社債発行と銀行融資の間に大きな利率の差がある。
逆にいれば、低格付け企業でも融資をしてもらえれば問題ないことになる。


・今は無担保債が一般的だが、昔は有担保の債券も存在していた。



あと第6章の「スワップ取引の原理」などは、一回目を通しておくとわかりやすくていいかもです。



信用リスクとか、社債投資をこれから始める人にとっては、適度なレベル、分量の本じゃないかなぁと思います。


個人的には、第8章の文化論は必要ないかなぁと思いました。
せっかく実務の流れがきれいに通っていたのに、最後に付け足しされた部分の収まりが非常に悪いです(笑)。