KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)メモ


最近、知人の勧めで「巨大投資銀行」という黒木亮さんの小説を読みました。
その中では、ジャンクボンドの王ミルケン率いるドレクセルと共同でM&Aをしかけるあまり宜しくない企業として描かれていましたが…。
仕事で少し絡む可能性もある?(ないか?)ということで、ネット情報を基本に簡単に調べたものです。



『概要』
共同創設者はジェローム・コールバーグ、ヘンリー・クラビスとジョージ・ロバーツ。
1976年に設立された世界随一の歴史と実積を誇るプライベート・エクイティ・ファーム顧客は世界的に著名な企業年金公的年金、金融機関、生命保険会社、大学基金など。
拠点はニューヨーク、メンロパーク、ロンドン、パリ、香港、東京


業界をリードする企業に投資し、経営陣と長期的な協力関係を構築しながら事業を向上させ、企業価値を創造するというシンプルな投資アプローチ。
投資先企業の取締役として積極的に発言。
借り入れ、自己資金を含め投資資金を提供。


1988年にRJRナビスコを260億ドル(約2兆9000億円)で買収したことで有名。
その後も米玩具チェーン大手のトイザラスや、米ゼネラル・モーターズ(GM)の金融子会社GMACの不動産金融部門などを買収。
2007年にはテキサス・パシフィック・グループなど共に、テキサス州最大の電力会社TXUを総額450億ドル(約5兆4300億円)で買収。
最近では、米シティグループ傘下のコールセンター会社ベルシステム24の入札に参加。



『創設者プロフィール』
以下の3人の頭文字をとって、KKRです。

・ヘンリー・クラビス
 米クレアモント・マッケンナ・カレッジ卒、コロンビア大学経営大学院でMBA取得。中堅証券会社、米ベアスターンズのコーポレート・ファイナンス部門パートナー時代にLBOの手法をロバーツ氏と開発。1976年にKKRを創設。

・ジョージ・ロバーツ
 米クレアモント・マッケンナ・カレッジ卒、カリフォルニア大学ヘイスティングスロースクール卒。ベアスターンズを経て、ジェローム・コールバーグ(87年に辞任)、クラビス両氏とKKRを設立。クラビス氏とは従兄弟の関係。

・ジェローム・コールバーグ
 米ベアスターンズ出身。60年代から70年代初期にかけて、複雑な利害関係者によって経営が行き詰まった企業買収を仲介して企業の経営再建を手助けしていた。しかし、80年代半ばに手がけた自動車レンタルのベアトリスとサムソナイトの買収(初めての敵対的買収)以降、LBOにおいて敵対的買収が一般化するようになる。コールバーグは失望し87年、KKRを去った。
80年代中頃に見られた第二次LBOブームは、第一次LBOブームがKKRなど少数の優れたバイアウトファンドが、買収先の企業の経営者と協調して企業再建を行う協調型買収であったのに対して、第二次ブームはジャンク債を発行すること自体が目的と化していった。



『投資アプローチ』
上場企業の非公開化、企業の特定事業部門の資産の取得、同族企業のオーナーやストラテジック・バイヤーとの共同投資、業界再編を契機とした成長企業への投資。
投資期間は通常数年にわたり、場合によっては10年以上に及ぶ。



『日本拠点』
2006年4月、業務開始。
代表者は山川丈人 蓑田秀策。
2008年には元資生堂福原義春氏(創業者:福原有信氏の孫)をシニアアドバイザーに任命。



「蓑田秀策(みのだしゅうさく)」
昭和26年7月20日
昭和49年3月一橋大学経済学部卒業
昭和49年4月日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)入行
金融法人部副部長、アレンジャー業務推進室長を経て
平成10年シンジケーション部門部長
平成15年執行役員
平成16年常務執行役員
平成16年11月常務執行役員コンプライアンス統括グループ統括役員兼シンジケーションビジネスユニット統括役員
平成19年7月コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)マネージング・ディレクター
平成19年7月KKR日本法人共同最高経営責任者(CEO)



『主な大型LBO
1988年、KKRによるRJRナビスコ買収。260億ドル。
2006年、KKR、ベイン・キャピタル、メリルリンチによる米HCA買収。約330億ドル。
2007年、ブラックストーンによる米オフィスREIT最大のエクイティ・オフィス・プロパティーズ・トラスト(EOP)買収。390億ドル。
2007年、KKR、テキサス・パシフィック・グループによるTXU買収。450億ドル。



『初期のLBO
 初期LBOは、当時よく知られていたブーツ・ストラップ・オペレーションと呼ばれる、買収相手の企業の保有資産を担保に資金を借り入れる手法をより洗練したものである。借り入れた資金で、買収相手の企業の経営陣を抱き込んだ上(ゴールデンパラシュートと呼ばれる)で企業を買収し、企業の経営を効率化した上で再売却するか、再上場する。借り入れた資金は、税制上経費算入できるので、配当と比べて有利になる。



『その他』
 創設者の一人、ヘンリー・クラビスは独立系石油採掘業者として名をはせた父レイモンドの力に頼らず、一代でKKRを築きあげた。父ブッシュの就職口を斡旋したのがレイモンドということから、父ブッシュが石油業界に身を置く道筋を世話したのがクラビス家といっても過言ではない。また大統領選出馬を表明したブッシュ(父)のために1987年秋以後、選挙資金集めに奔走した。



(参考)
http://japan.kkr.com/
http://d.hatena.ne.jp/HEAT/20070227
http://www.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/fa97ae66079681b57ed09bbdb1c1092f/
http://www.market-from-japan.jp/fandf/mar2452.htm
http://ijin.keieimaster.com/new/2007/528.html
http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/287594