20歳のときに知っておきたかったこと-スタンフォード大学集中講義


後輩に借りた本です。
本屋さんでもベストセラーになってますし、有名な本です。
最近はハーバード大学の講義がテレビで放送される等、海外大学の授業内容にスポットライトがあたってるようです。


簡単に言ってしまえば、もっと人生で突き抜けたことしようぜ!って感じの本です。
やりたいことができない理由を他人や環境のせいにしてないですか?と。
やる、やらないは自分の気持次第ですということを改めて痛感する本です。


題名を見たときは、ちょっと読むの遅いのかなと思わされましたが、実際読んでみると20代後半でも十分これからの人生に活かせる内容となっていましたし、遅すぎるのではと心配する必要はないと思います。



最初のテーマでは、「手元の5ドルを2週間でできるだけ増やせ」との命題が与えられます。
その5ドルを活かすことを必死に考えたチームもあれば、5ドルにとらわれることは逆に選択肢を狭めるとして無視したチームもあり、元手がなくても大きく儲けるにはどうしたらいいのか?と大きく問題を捉えなおすことで成功したチームもありました。


機会はそこらじゅうにあり、また問題を解決する方法も無限にあるという、ある意味、起業家精神のようなものを植えつけるものとなっています。
また目の前の条件で狭く考えがちであり、目の前の不十分な条件のせいでうまくいかないと言いがちであることとも指摘されています。



目の前のことを狭く考えがちという点については、


これは"エスキモーに氷を売る"という本とも部分的に重なります。
自分が扱う商品がベストでないからと言って、売れないといっていては何もできない。
どうすれば魅力を引き出せるのか、もっと言えばその商品の本当の魅力は何なのか?
を考えなければいけない。
商品が悪いから売れない、と言っている営業の方がいたら、それはたいしたことない営業ってことなんでしょう。


佐藤可士和の本にも少し、似たようなことが書いてます。
彼は自分のことを"コミュニケーション・ドクター"と呼んでおり、
イデアはその商品に何か付加しなければならないものではなく、
もともと商品が持っている魅力やメッセージを引き出し、それを正しく伝えることが仕事と言い切っています。



本の感想に戻りたいと思います。


まずは目の前の課題をチャンスと捉え、それに対する抜本的な解決策を実行に移すことが重要です。
そのためにまずやらなければいけないのは、何が本当の課題なのかということをしっかり見定めなければいけません。
というのは実際、目の前に課題があるにもかかわらず、当たり前と思い込んでしまって通り過ぎてしまっていることが多いからです。
あと環境に対する慣れが大きいほど、この問題の発見も難しくなります。


そういう意味で、会社にはどんどん新しい目線を入れることを提案しています。
あとは部下や新しく入ってきた人間から素朴に疑問として投げられたことに対して、これはこうだからよ…、と現状目線で簡単に片付けてしまわないという意識が重要かと思っています。



決まりきった枠からはみ出ることを実行するために、面白い例が挙げられています。
ある課題に対して、それぞれのグループが「べスト」な解決法と「ワースト」な解決法を考えてもらいます。
そして「ベスト」な案はすべて捨てられ、「ワースト」な案として出された方法を練り直して、最高な案にするよう求められます。
そうすると、意外に「ワースト」ではないことに気付くだけでなく、おもしろいアイデアが出てくるといったものです。
つまり、アイデアそのものに悪いものはなく、実現可能性にひっぱられすぎると逆におもしろくない、差別化のできない平凡なものになってしまうということです。


また及第点を目指さず、最高を目指せという言葉もありました。
本では「光り輝くチャンスを逃すな」というフレーズが挙げられていました。
求められる当たり前のことをやっていては当たり前の結果しか返ってこないということです。
でも、今のビジネスの中でこのような成果を生み出すのは非常に難しいと思います。
会社としてもある程度、大きく方針としてこのようなチャレンジを後押しすることが必要ではないかと思います。


会社でも、自分の行動を否定されないために、相手の言質をとるだけの人がいます。
そういう人と議論していても、やっぱり何もおもしろくないんですよね。
失敗しないこと、相手の議論を悪く言う事しか頭にないというか、自分から議論をはじめられないんですねー。
そもそもアイデアに悪いものはないという意識をもっと徹底させる必要があるなと思っています。


少し話は変わりますが、やけに効率を求めすぎる風潮も同様の弊害を生んでいるように感じています。
当然、無駄はないに越したことないのですが、そもそもやる前に無駄だと分かることのほうが珍しいんじゃないかと思ってます。
最近、部署を越えたプロジェクトを自主的に企画しているのですが、これは部署間でオーバーラップする分、無駄になる部分もあるかもしれません。
しかし、無駄なく効率よくやろうとして部署が完全な縦割りになりすぎると、実はそれぞれの部署間の仕事の関連がわからず、余計に無駄な仕事を生んでいるのではという結論に至りました。
オーバーラップの最適な度合いは難しいですが、それはやっているうちに自然に見えてくるのではないかと思っています。


失敗を恐れずにというのもつながってきます。
つまり、成長や進歩は直線的に伸びるわけではなく、ある程度の浮き沈みを伴うものだということです。
個人的には金を払ってでも人のやっていないことを経験し、それを自分の経験や体験とすることが一番の成功の近道だと思っているのですが。
そもそも全部揃ってから始めるというのは、すでに誰かがやってしまっているということですし、実験にもならないわけですよね。
会社員の仕事のほとんどは誰かがやってきたことの焼き増しであることを考えると、なおさら少しでもやったことのない実験をしようという気持ちは必要ではないかと思うのです。
また、同じところにとどまりつづけるのがよくないのは言うまでもないと思います。



ルールは破られるためにある。
「許可を求めるな、許しを請え」というのも印象的なフレーズでした。
つまり、ある程度のレベルに達するまではルールは非常に役立つものであるが、それを超えるためにはやはりルールを一度捨てなければ行けないということでしょう。
そもそもルールというのは人によって違いを生まないように意図したものであるからです。



また機が熟することはない。人に許可されるのを待つのか、自分自身で許可するのか。というのも印象的でした。
チャンスは自らつかみにいかなければいけないということです。



全体を通じて…
自分も最近、ものすごく引っかかっていることがありました。
確かに自分は人より少しは多くの仕事をやっている自負はある。
しかし、他人と明らかに異なる価値を生み出せているのか?
ということです。


おそらく、答えはNoだと思います。
目の前の多くの業務をこなすことに必死になり、新たな価値を生み出す大きな視点にたつことができていなかったと反省してます。
そういう意味で、通常は仕事の入らない土日の時間を以前より重視するようになりました。
人と会う時間は大切にするのはもちろん、自分でいろいろと考える時間をとる事にしました。そして、時には無理やり歩く時間を確保することで、思索の時間をとるようにしてます。
こういう本は読んだ後にすぐに具体的な行動につなげないと、自己満足で終わってしまいますしね。



また自分の心の狭さにも反省しています。
すぐに腹を立てるなど、余裕がなさすぎるというきらいがあります。
時間に余裕がなくても、心には常に余裕がもてるよう、もっと自分の心を平穏に保つすべを見につけたいと思っています。


本の中でも、「世の中にはたった50人しかいない」という例で、世間は狭いのだということが語られていました。
これは自分自身も非常に納得する部分であり、一度つながった人とはできるだけ長い間つながっていたいとマメな連絡を心がけてはいます。
それに加えて、誰とでも仲良くすることは難しいかもしれませんが、無駄な衝突はさけつつ、人との応対にもその時々の感情に任せることなくやるということが必要なのかも知れません。



思ったこと等をだらだらと書いてしまいましたが、参考になれば幸いです。